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オンラインによるトップ対談記事―AnyWhere様×立科町―

2022.03.22

ニュース

 


先月開かれたトップ対談の詳しい記事です。ZOOMによるオンライン会場にお集まりいただき対談が実現しました。この対談の概要については以下の通りです。


1 日程

 2022年2月21日(月)


2 スピーカーとファシリテーター

(スピーカー)
 株式会社AnyWhere 代表取締役CEO 斉藤 晴久 様、小野 千春 様
 立科町 副町長 小平 春幸
 立科町テレワークセンター 住民ワーカー 今井 幸恵
(ファシリテーター)
 一般財団法人塩尻市振興公社 立科拠点 ディレクター 牧内 久美


3 経過

 令和3年11月に、株式会社AnyWhereから立科町のテレワーク事業に登録する住民ワーカーへ業務発注が開始されました。そこで、業務発注を進める株式会社AnyWhereの代表取締役CEO斉藤様と、住民の雇用創出のためのテレワークセンターを開設して業務受注を進める立科町の小平副町長によるトップ対談を行いました。

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4 インタビュー
(牧内)
本日ファシリテーターを務める牧内と申します。塩尻市振興公社立科町拠点の拠点ディレクターとして3年ほど経ちますが、お客様との契約関係など業務の受発注に関わることを中心に活動しています。よろしくお願いします。
それでは今日ご参加のみなさま、一言ずつ自己紹介をお願いします。



(斉藤)
株式会社AnyWhere斉藤と申します。我々は人でつながるワークプレイスプラットホームというテーマでTeamPlaceというWebのサービスを運営しています。TeamPlaceでは全国にある500を超える働く場所(ワークプレイス)を繋ぎ、ワークプレイスを使うだけでなく、そこにどんな人が集まってどんなイベントが開かれているのかなど、ワークプレイスごとの個性、いわゆる“コト”を発信しています。
他には働き方のコンサルティング事業など、豊かな働き方を実現することをテーマに活動しています。


(小野)
同じく小野と申します。主に住民ワーカーのみなさんに発注させていただいている業務の窓口として、牧内様やメンバーのみなさまとやり取りをしています。すでに住民ワーカーのみなさまには、TeamPlaceに登録された300以上の既存施設の掲載内容をアップデートいただいたほか、50以上の施設の新規掲載をしていただき、当社の基幹事業を支えてもらっています。本日はよろしくお願いします。


(小平)
立科町副町長の小平と申します。株式会社AnyWhereのみなさま、立科町の住民ワーカーへいろいろな業務を発注いただきありがとうございます。今日の対談をきっかけにさらなる広がりを期待したいと思います。今日はよろしくお願いします。


(今井)
テレワークセンターに登録している住民ワーカーの今井と申します。小学校1年生と保育園の子どもがおります。昨年3月に長野市から主人の両親が住む立科に家族で引っ越して来ました。よろしくお願いします。


新しい働き方を進めるAnyWhereと立科町の出会い
(牧内)
AnyWhere様と立科町がどのようにつながったかというと、立科町の関係人口を創出する企画を受託いただいたことがきっかけと聞いています。
もともと立科町では、町内事業者の経営課題をテーマにしたアイデアソンイベント「タテシナソン」を実施しており、それはイベントとしては大変好評だったわけですが、参加者と立科町の中長期的な関係人口の創出が課題になっておりました。そんなときにAnyWhereの斉藤さんからヒトでつながるワークプレイスプラットホームであるTeamPlaceの活用をご提案いただき、関係人口創出を目指した事業をAnyWhere様と立科町で推し進めていこうということになったと聞いています。
こうした繋がりをきっかけに、当町のテレワーク事業、特に住民ワーカーの存在を斉藤様に紹介し、TeamPlaceに登録された施設情報の更新作業という御社業務を切り出していただきました。業務内容は最初から効率重視というよりは、まずは住民ワーカーとの関係性を深めて、少しずつ業務の幅を広げるといった柔軟な対応をしていただいています。
AnyWhere様は設立当初からリモートワークということもあり、場所にとらわれない働き方の推進が一つの大きなテーマになっているわけですが、その事業を進める一員として立科町のワーカーを含めて新しい働き方を体現されていると思います。斉藤様、場所にとらわれない働き方を進めていくという御社の考え方をお聞かせください。


(斉藤)
我々の会社のビジョンとして“世界中の誰もがどこでも豊かに働き生きる社会へ”を掲げて日々活動しています。構成するメンバーが現在20名ぐらいいますが、それぞれの場所にとらわれずというか、生活基盤を移すことなく今住んでいる場所から仕事をするといったスタイルでフルリモートで仕事をしています。
それこそ私は今東京にいますし、小野は群馬から、他には長野からとか、もっといえば海外からとか。自分がいる場所がオフィスという考え方です。そのようにして日々業務を推進していますので、生活と仕事を切り離さないで働くことによって、個人の生活が豊かになり、その波紋が広がってやがて豊かな社会になるんじゃないかと思います。


(牧内)
立科町テレワークセンターに業務を発注しようと思ったきっかけについて詳しい経緯をお聞かせいただけますか。


(斉藤)
日々仕事をしていく中で、いい意味で業務がどんどんと増えていってしまって、さてどうしようかとなった時に、もちろん新しい人を採用することも考えられますが、一方で地域と何か一緒にお互いの利につながることをやってみたいと思った時、偶然立科町企画課の上前様からテレワークセンターの取組みを紹介してもらいました。
お話を聞いたところ、立科町の現状とそれに対する施策というものが、まさにそのような取組みをやりたいと思っていたので、更にチームとしてお仕事を一緒に取組めるというのは、我々としても新しいチャレンジになるのではないかと思い、今回ご一緒させていただきました。


人口減少に対抗するため、テレワークによる雇用創出を
(牧内)
コロナ禍においてコミュニケーションの機会が分断されている中で、ICTの活用が加速度的に進んでいるかと思います。これまで埋もれがちだった人材の活用に目を向けて、AnyWhere様と人口7,000人に満たない立科町とのつながりが持てたということは、非常に素晴らしいことだと思います。
最近ではDE&I(ダイバーシティエクイティ&インクルージョン)という言葉が出てきていますが、多様性、公平性、包摂性を重視して、より持続可能な社会を実現しようという流れがあり、立科町の社会福祉型テレワーク事業がまさにこれではないかと思います。
ここで小平副町長にお聞きしますが、立科町としてこのテレワーク事業を進めるに至った町の課題や目的、これまでの成果などについてお話いただけますか。



(小平)
立科町は長野県の中でも小さいほうの町で、人口が多いときは8,700人ほどでしたが、現在は7,000人を切っている状況です。高齢化率でも全国平均が約30%という状況ですが、立科町は37.7%と高齢化が進んでいます。また令和3年の出生数と死亡数を見ましても、子どもが36人に対し亡くなる方が121人ということで自然減が大きく、人口減少がより深刻なものになってきています。そこで、立科町の抱える人口減少問題に対し、まずは雇用を生み出す仕組みづくりが最重要事項だと考えています。
世の中ではUIターンの希望者が多いものの、立科町においては産業構造とのミスマッチから仕事の選択肢の少なさがボトルネックになっていることがわかったため、テレワークによる仕事の誘致が効果的だというふうに考えました。
そこで事業を始めるにあたって住民アンケートをとったところ、子育てからの再スタートや両親の介護と並行して仕事を見つけることの難しさなどが見えてきました。こうした様々な事情を抱えた住民ワーカーに対し、テレワーク事業がハブとなって、仕事の提供による経済的支援が可能になってきており人材育成や社会参加の手助け、いわゆる地域貢献にも寄与しているのではないかと思います。
更にこの活動をきっかけに住民ワーカーを核とした新たなコミュニティができており、経済的効果と人のつながりの2つの面から大きな成果であるとともに、AnyWhere様をはじめパートナー企業のみなさまとの未来志向の取組みについても今後期待していきたいと思います。


家事や育児もこれまで通りにやりつつ、日中の時間を最大限まで活かせる働き方
(牧内)
立科町テレワーク事業も6年目になりますが、たくさんの住民ワーカーが関わってきており、いまでは50名近い方が登録をされていますが、今日はその中からAnyWhere様の業務を担当している今井幸恵さんからお話を伺いたいと思います。
今井さんには、なぜこのテレワークセンターに登録したのかという点と、実際に働いてみた感想をお話しいただけますか。



(今井)
これまで出産・育児に専念していましたが、2021年に長野市から立科町に引越ししてきました。それと同時に子どもたちも小学校や保育園に入り、育児もひと段落ついたので再び仕事について考えるようになりました。そうは言っても子どもたちも小さいので、できれば町内で働きたいという思いがあって探したのですが、自分の中で希望する時間内に働ける場所がなかなか見つからず、どうしようか考えていたところ、知り合いの方から、家庭と仕事が両立できそうなテレワークセンターを紹介してもらいました。
タイミングよく「ワーカーミーティング」という、どんなお仕事があって、これからどんなふうに規模を広げていくかなどの説明会が開かれていたので参加してみて、これまでの経験を活かせる業務もあったので登録しました。
実際に担当した業務は、議事録の文字おこしや名簿の作成などがありました。さらに、2021年の秋からAnyWhere様の業務を担当しています。最初はTeamPlaceの既存施設や新しく掲載される施設情報の編集作業を行っていました。当初は文章を書くというお仕事の経験がなかったので不安に思う部分があったのですが、小野様をはじめAnyWhereのスタッフの方々に丁寧にご指導いただいて、徐々に不安が自信へと変わっていきました。
AnyWhere様の業務の切り出し方は、こちらのスキルにあわせて業務を設計してくれています。現在では新しく掲載してほしい施設のリストアップやアプローチなども行っています。私が担当している業務はネット環境があればどこでも進められるので、自宅にいながら家事や育児もこれまで通りにやりつつ、日中の時間を最大限まで活かせるというのがポイントです。このスタイルは従来の雇用形態では叶わなかった働き方です。
また、テレワークセンターでは働きながらスキルアップできるように、年間をとおしていくつかの研修があります。現在進行中のものとしてライティング講座があり、実務に直結した導線もしっかりしています。こういった仕組みを活用しながら少しずつ自分のスキルを引き上げ、業務の幅を拡げられたらいいと思います。


AnyWhereが実践する新しい働き方
(牧内)
AnyWhere様のnoteの記事を拝見しましたが、AnyWhere様にとっては、リアルでメンバーが会うこと自体が非常に貴重な事なんだろうと思います。
そこで気になるのが、普段のコミュニケーションはどのように行ってお仕事を進めているのでしょうか。最近話題にもなっているメタバースのような仮想空間を活用したフルリモートならではの働き方などお話しいただけますか。


(斉藤)
お話のとおり、私たちは普段からフルリモートで仕事をしています。こちらの記事はTeamPlaceサービスをローンチするタイミングで、非日常の空間をあえて選んでお寺で集まりました。
普段はおのおの一つの場所に集まることなく仕事をしていますが、やはり一堂に会することでお互いのコミュニケーション量や深さが格段に違います。直接対面することによって表情や温度感などの情報も知り合えて、お互いのことも理解できる。更に結束も高まったといういいとこどりの企画でした。
通常の業務では主にZoomのオンライン会議や、Slackというメッセンジャーを使いながらやり取りしています。そんな中でもやはり場所が離れているので、コミュニケーションが分断しがちにはなりますが、決められた時間に必ずいなければならないというものはなく、メンバーにも確認ができるので、目の前の与えられたミッションに対しては進めやすくなっていると思います。


(牧内)
まさにニューノーマルな働き方を実践されていると感じました。いわゆるnode型の組織体ですね。トップダウンで理念を浸透させることの難しさというものが、今のお話を聞きますと有機的に解消されていることがわかります。
実際に私たちにおいても運営側の考えを伝える場所というのが今の時代極端に少なくなってきています。AnyWhere様のようにリーダーの理念が浸透しているからこそ成り立つビジネスモデルなのかなというふうにも感じました。


フレキシブルな挑戦を重ねて一緒に成長
(牧内)
今回TeamPlaceの業務を当町の住民ワーカーに発注していただいた効果はありましたでしょうか。



(小野)
弊社として初めての試みでしたが、スムーズに進めていただいています。はじめは小さく切り出した部分の仕事から進めていましたが、今では営業アプローチ業務なども立科チームさんがメインで担ってくださっており、大変助かっています。
今後もこういったかたちでフレキシブルに挑戦していただけるようであれば、ぜひいろいろなことに挑戦して、AnyWhereの仲間として一緒に成長していけたらこちらとしても嬉しいです 。


(牧内)
非常に励みになるお言葉をいただきありがとうございます!
このような嬉しいお言葉をいただきましたが、今後のテレワーク事業拡大の方向性について、小平副町長に教えていただければと思います。


(小平)
住民ワーカーのみなさんに頑張っていただきまして受注額も伸び、ワーカーの数も増えてきている中で、現在塩尻市振興公社様の仕組みを一部使わせてもらっていますが、今後は立科町が独立してこういった業務を担えるよう、組織の設立を考えています。
1年くらいかけてこのテレワーク事業だけでなく、町の中で課題となっているものを解決していける組織を立ち上げたいと考えています。行政自らでは制約があってどうしてもできない事業があります。また、大きな規模の自治体であれば民間の事業者が動くと思いますが、立科町の規模だと民間では難しいものがあります。そこで、町が主体となって組織を設立していきたいというのが、今後の町の考え方になります。それを契機に一段とテレワーク事業が飛躍していけばと考えています。


拡張した領域を少しずつ一緒にできる体制を
(牧内)
最後になりますが、AnyWhere様が考える立科町とのさらなる連携の可能性や、立科町およびテレワークセンターに期待する部分がありましたら教えてください。


(斉藤)
小平副町長のお話にもあった通り、行政が主体となって取組んでいるところはかなり珍しいと思っていて、非常に感銘を受けているところです。直接行政の方々が動いているところに私たちが携わることで非常にやりがいを感じています。
実際に業務を一緒に取り組んでいますが、業務範囲は他にもありますので、拡張した領域を少しずつ一緒にできる体制を徐々に整えていけたらいいと思っています。今後海外の場所とも連携していく予定ですので業務範囲は広がる可能性があると思います。これからご一緒していくところが少しでも増えたらいいなと考えています。



(牧内)
私の感想としてAnyWhere様が住民ワーカーに寄り添ったかたちで業務を依頼していただき、また、今後の拡大を考えてくださっていて、非常にこちら側からしますと一緒に成長していける企業様だなと強く思っています。今後も引続きいい関係で様々な業務を進めていけたらと思います。
先日タテシナソンNeXTのイベントで拝見しましたが、バーチャル空間の設計・運営もAnyWhere様で担っていただきまして、参加者からは楽しく体験できたと聞いています。今後はそういった新しいツールなどもテレワークセンターでも取り入れていきたいと思いますので、その際にはまたお力添えを願いたいなと思います。本日はありがとうございました。

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